復路の「順天堂大学」に学ぶ長距離トレーニング
今日10月17日(土)、大学スポーツ最大のイベントとも言える「箱根駅伝」の予選会が開催され、シード校10校とともに競う10校の座をかけて49校が20キロを争いました。
通過できるかできないかで天国にも地獄にもなる予選会を見事突破した大学の一つが、昔は「復路の順大、逆転の順大」とまで言われた古豪・順天堂大学。
長距離のみならず短距離など含めた学生陸上界きっての強豪校である順天堂大学のトレーニングは、脈々と受け継がれた伝統の強化法があるそうです。
そこで今回の記事ではトップチーム研究第4回目として、日本陸上界に大きな功績を残し続けるとまで言われる順天堂大学の練習メニューを大学駅伝強豪校の練習法―速くなるためのノウハウを完全公開! (B・B MOOK 850 スポーツシリーズ NO. 720)を参考に見ていきたいと思います。
順天堂大学陸上部とは
順天堂大学は箱根駅伝において1986年から1989年において怒涛の4連覇を果たすなど、今までに13回の総合優勝を果たしている強豪校。
医学部ももつ順天堂大学では「スポーツ医学」を導入して現場の指導に生かしたり、クロカン走を導入するなど、陸上界において先駆者的な役割を担ってきました。
また陸上界においてオリンピックや世界陸上に多くの選手を送り出してきたとともに、中学から大学まで多くの指導者を輩出するなど、あらゆる面で今も陸上界において大きな位置づけにある大学と言えます。
医化学面でのサポートの充実
順天堂大学は医学部を持つ大学ということで、医化学面のサポート体制も整っていて、血液検査は月1〜2回の頻度で実施。
翌日の午前にはその結果が出るそうで、その結果次第で指導スタッフは選手の練習メニューを変更するなど、選手の状態に合わせて迅速な対応が可能になっています。
さらにアクシデント予防や給水方法、食事などについても、授業以外に定期的なレクチャーが行われているそうです。
さらに身近なところにチームドクターや学生トレーナーがいて、身体ケアやコンディショニングも万全のようです。
朝練習をチェック
朝練習は一人で30〜40分、やや速めのペースでのジョグ。
集団でペースを抑えて走るチームが多い中、個を生かした強化法を取り、一人で走る事が当たり前になっていた順大では、孤独な走りを強いられる事の多い箱根駅伝復路でもしっかり走れる選手が育ち、その結果がかつての「復路の順大」を生み結果となったそうです。
ただし最近では夏場など一人で追い込むのが難しいシーズンでは集団走を取り入れ、団体の力を使ってペースを上げていっているようです。
動きづくり・補強運動をチェック
短距離も強い順天堂大学では、長距離ではそれほど重視されない傾向にある動きづくりや走りの中での補強運動も重視。
10種類に及ぶ順天堂大学伝統の動きづくりメニュー「調整運動」は、効率のよいランニングフォーム習得を目的として週1〜2回、ジョグ前に行われているそうです。
またこの動きづくりの他にもメディシンボール、バランスボードなどを使った補強運動も取り入れる事で、踏み込みを意識した走りにつなげているようです。
クロストレーニングもチェック
順天堂大学では故障者を減らすべく水中でのウォーキングも積極的に取り入れているようで、合宿では走練習2に対して水泳1。
水中で距離を踏む事によるスタミナ強化に加えて、潜水などで心肺機能にも負荷をかけるなど、目先を変えたトレーニングも実施しているようです。
学業との連動
順天堂大学の選手が所属するスポーツ健康科学部は文字どおり「スポーツを科学する」学科で、学業の中で速く走るためにどうすればいいか、図書館で調べ、教室で学び、走りで実践と学業との連動が可能。
この繰り返しが競技力向上に大きく繋がっているようです。
まとめ
順天堂大学の取り組みで注目すべきは、医科学的な知識とトレーニングの連動。
自分が速くなりたいという意欲は、勉強へのモチベーションにもつながり、専門知識とトレーニングの実践が両立された走りが順天堂大学の強さ、そして優れた指導者を多く輩出する事にもつながっているように感じました。
また順天堂大学が行っている伝統の動きづくり「調整運動」10メニューを見てみるとかなり難易度も高く、市民ランナーには少し難しそうなものも多いのですが、どれもこれも効率のよい動きにつながる事は間違いなく、私どもの練習会でも取り入れてみたいメニューも多くありました!
そんな順天堂大学の箱根駅伝予選会の順位は4位と、本戦でも十分活躍が期待できる位置にある事は間違いありません。
ここ最近は駒大、東洋大、青学大などの強豪校に押されがちな順天堂大学ですが、かつての「逆転の順大」の輝きを取り戻す活躍に期待したいと思います!!
今回参考にさせていただいた書籍
大学駅伝強豪校の練習法―速くなるためのノウハウを完全公開! (B・B MOOK 850 スポーツシリーズ NO. 720)
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合同会社ランシスの運営を通じて「ランウォーク」×「ツーリズム」の掛け合わせ「ランウォークツーリズム」による、三重を走り歩く新たなモチベーション創りを模索しています。
またランニングコミュニティ「セカンドウィンド四日市」の運営や、三重県ウオーキング協会事務局長として広報等を担っています。